ファンではない自分がなぜこうも毎日SMAPの事を考えているんだろう。
SMAPの解散報道がでてから、不思議な感覚の日々を送っている。
なんでこんなに彼らのことを考えているんだろう、と。
自分はオッサンで、SMAPは普通にテレビを付けて出ていれば見る程度の関わりなのに。
キムタクの演技はいつも同じだと文句を言っていたし、かっこ付けてる割に頭わりいじゃねえか、いいともSPでラブシーンをLOVE SEANと書いてたのは見逃さなかったぞ、とか斜めに切り込んだつもりでぶつぶつ言っていた。
今は前よりSMAPの凄さと楽しさが分かってきたとは言え、何でこんなにSMAPのことが気になるんだろう。
(この先、草なぎの彅をそのまま書いています。環境によってはちゃんと見えないかも。)
きっと、応援する人たちが居て、応援される側がそれに応えようとしている関係性の楽しさを知ってしまったからじゃないかと思っている。
「気づくと」ももクロを好きになってしまってから、アイドルの楽しみ方が分かってきた。そうなるとSMAPの凄さや面白さも見えてきた。
キムタクが2枚目という役回りをたぶん公私ともに引き受け続けていること。
中居くんがアイドルと3枚目ポジションを華麗に行き来してることと、大事なことを消して逃さないでいること。
吾郎ちゃんが不思議キャラのように扱われてるけど、バラエティ見てると草彅が一番空気も読まずに相手をぶっ潰すひとじゃないのか。
ところで香取君はマルチにいろんなことできるのにどこかでもっと本気出せば凄いんじゃないのか、なんか手を抜いているように見えるんだが、テレビ以外の活動を知らないからか。
吾郎が年上男性と半同居していることをファンタジー込みでお知らせするとは、さすがSMAPチームだなあと感服してた。
自分の浅いSMAPイメージはこんな程度。
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謝罪会見を生放送で見て、ネットでいろんな記事や、ファンのブログを見ている毎日。ずっとSMAPを気にしている。
何が本当か分からないけど、「ジャニーさん」と「メリーさん」とかいう人がかなり独裁者的なんだな、と思っている。
木村が事務所残留を決め、他の4人が育ての親のマネージャーと共に事務所を退社するはずだったが、SMAP解散を避けるために、4人がメリーだかジャニーに謝罪したらしい。
4人が悪者みたいな描かれ方をした謝罪放送だった。
木村「ただ前を見て進みたい」SMAPコメント全文 - ジャニーズ : 日刊スポーツ
40歳も超えた大人が夢を売るはずのアイドル事務所のいいなりに動き、全国に対して謝罪をさせられるという、そら恐ろしい映像だった。
メンバーの中にはまだまだ溝もあるんだろうし、木村が事務所側に立って他の4人を従えたように見える会見だったけど、果たして木村はそういうことをする人だろうか。
他の4人も、ただ事務所に対する謝罪を伝えに顔を出したのだろうか。
ジャニヲタではないので、彼らのこれまでの軌跡や性格なんてほとんど知らない。この方が想像するほどのファン経験は自分にはない (拝啓、SMAP様~いま、SMAPに伝えたいこと~ | La pantoufle de vair)。
けど、自分なりには勝手に思い描いている「真実」はある。
長いことやっていればいろいろあるだろうし、解散という選択も「間違い」でもないだろう。アイドルをやめるタイミングだって大事な問題だろう。
確かに中居は年末、信頼する松本人志がやっている「すべらない話」と「笑ってはいけない24時間」に出演して、ジャニーズ事務所のタレントとは思えないようなことをしていた。ジャニーさんの誕生日でジャニーやマッチが君臨する様を揶揄するような話をしていたし(面白おかしく演出して話してはいるだろうけど)、女性芸人とディープキスをしていた。これはジャニーズとの距離を取ろうとしていたからなのかなという気もした。
ただ、このまま5人が割れて「空中分解」してしまったら、アイドルというファンタジー自体が壊れてしまう。
(まあ、すでに事務所とテレビ局がそれを壊しているけど)。
中居くんは笑っていいとものグランドフィナーレで「バラエティの終わりは寂しい」と言っていた。
多くのアイドルは終わりが寂しくなりがちだけれど、SMAPの終わりがこのまま寂しいものになってしまってはいけない。
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あれだけ2枚目を引き受けてきた木村が、共演者やスタッフに気を遣う木村が、もし奥さんのささやきがあったとはいえ(あったかどうかはしらんが)、木村が正しくて4人が間違っているというスタンスに立ちきるとはおもえない。彼が最も嫌う仁義にもとる行為なんじゃないのか?
(そこまでキムタクを知らないのだけど、そんな気はしている)。
いくらまだ問題の渦中であり事務所の力が強くて自分たちの言葉で語れない時期だとしても、そのまま受け入れて事務所にわびを入れる会見をするだろうか。
確かに、中居は歌が下手だとか踊れないとか夢を壊すようなことを敢えて言うし、稲垣は年上男性と半同居していることをお知らせして世間を驚愕させているけど、本当のところは分からないというファンタジーは必ず残している。
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そう考えると、あの会見もジャニメリ帝国の軍門にくだったかのように見せるための会見だったんじゃないのか?
あんなに疲弊した目を見せて、ファンを夢から醒ますような会見をしているのも、今後のための前振りなんじゃないのか。
いまは力を蓄え我慢するしかない、時を待つしかないのだけれど。
立ち位置と表情で、あの会見が本意ではないと伝えていたんじゃないだろうか。
木村と中居は共に、勝者と敗者を演じ合っているんじゃないか。
スラスラと話しすぎることで、自分の言葉ではないことを稲垣は伝えているんじゃないか。
言葉を詰まらせたことで、行間を伝えたいんだと感じさせた香取に、
立ち位置と順番、つねった手とため息で、尋常ではないことを最大限伝える中居。
事務所に謝罪したから此処にいると、芸能記事でしか聞いていなかったことをさらりと言葉にしてしまう草彅。あれが言わされた言葉だったとしても自分の言葉だったとしても、あの言葉が現役のトップアイドルから出てくること自体が異常だと分かる。
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深く知りもしない一般のテレビ好きとしては、こんなことを夢想している。
(木村はタイムリープしているとか、草彅がアンドロイドだとかいう話ほど想像の翼を拡げられないのが残念)。
今後のSMAP5人の人生はどう見積もってもジャニメリより長い。
木村が事務所サイドに立ち、他の4人との主従関係を作ったように見せつつ、「前を見て進む」ために耐えている。
木村が事務所との関係を最悪なものにしないために4人への盾となり、他の4人も翻って従ったと見せつつ、あの会見はレジスタンス宣言なんじゃないのか。中に戻って冷遇されたとしても、時を待つ。
そういうのことわざで上手い言い方なかったっけ?
木村と中居の過去最悪の関係になっているって記事もあった。
そうだとしても、お互いの将来をそれぞれの尺度で考えたから結論が違ったんであって。
周りからのしかかる圧力を取り除くことが出来るなら、
大事にしたいものは一致しているはずなんじゃないのか。
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夢を売るはずの事務所がそれをぶっ壊した。
「夢から醒めるファンが良識的なのか、夢から醒めないファンが真のファンか」という問いがあったけど(SMAP解散報道について - それは恋とか愛とかの類ではなくて)。
SMAPファンではない外野からすると、目が離せないのはこれからだと感じている。
ファンタジーをぶっ壊してまで守りたいものがある事務所と、「みんなのSMAP」を守った5人。
まったくもって真実と虚構が不明ではあるけれど、ファンの思いとSMAPの思いが重なっている箇所ははっきり見えている。
「みなさんの言葉で気づいたこともたくさんありました」(草彅)「これからの自分たちの姿を見ていただき」(稲垣)、「これからもよろしく」(中居)
「SMAPがどれだけみなさんに支えていただいているのかをあらためて強く感じました」(中居)
「何があっても前を見て、ただ前を見て進みたいと思いますので、みなさんよろしくお願いします」(木村)
ファンの言葉や気持ちは確実に届いているし受け取ってくれている。
様々な事情をさておき、混沌としている中で、ファンタジーを壊すような姿を見せてさえもあの会見を開いた5人の覚悟と決意を感じた。
ファンとの繋がりを一番大事にしているという宣言。信じて待っていて欲しいという言葉。
SMAPで居続けることを願い、何を置いてもそれに応えた5人だった。
今はあまりにもドロドロとして、現実を忘れるためのアイドルではないのかも知れない。
夢から醒めちゃうかも知れない。
けど支えるなら今だろうし、共に乗り越えるのは今だろう、とも思う。
そういう時なのだと思ってファンを続けられるなら、ファン冥利に尽きるんじゃないのか。
とはいえ、自分の好きなももクロが同じようなことになったらどう思うかは、話が凄すぎて想像さえつかない。
こんな悠長なことは言ってられず、悲しみに暮れ、怒りに飲まれているかも知れない。
でもすこし引いた立場だから思うのは、こんなにファンとアイドルの気持ちが繋がっていると感じられることはないんじゃないかと思う。
そうやって考えるとすこし「嬉しい」出来事だったりするかも。「嬉しい」という言葉がぴったりした表現ではないけど。
これほどまでに事実が分からないって、ファンタジーそのものじゃないか。
っていうのは単なる言葉遊びかもしれない。けどそこを信頼と想像力で埋めてこそとも思う。
相手を信じるという力強い“ファンタジー”を行う時なのかなと。人を信じるっていうのは、事実を超えた強い気持ちを持つことだろう。もしかするとそれは思い込みかもしれないけれど、それさえも引き受けるのが信じるということなんじゃないかなと。
あそこまでの姿をさらしながら、アイドルグループを続けることを選んだ彼らが、これから先どういう夢を見せてくれるのか、ファンタジーを提供してくれるのか。そもそも提供出来るのか。
このまま、ゴシップと「あの人は今の」の谷に落ちていってしまうのか。
人や会社との対立・諍い、契約問題。きらびやかな世界とは無縁で、まるで普段の暮らしで体験する煩わしさの中にいる5人。
毎日の大変さやうさを一時だけ忘れてくれる夢ではなく、地に根を張るような力強いファンタジーを紡ぎ出す5人になるんだろうか。生活者でありながらファンタジスタ。
本人たちや熱心なファンには過酷な道だろうけど。
SMAPが新たなファンタジーを創る。その未来を見ていたい。
どうやら今回のことでSMAPファンになったかもしれない。
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こちらにも記事を載せています。